受け入れ事業所が増えるためには
小児を対象とする事業所はまだ少ない
必要な医療機器があれば、重度の障がいを持つ子どもでも自宅で生活することが可能です。ご家族が安心して生活を送るためには、医療や介護のサポートが必要不可欠です。しかし、医療的ケア児を受け入れている事業所は多くありません。受け入れに消極的な理由はどこにあるのか、そして受け入れ事業所が増えるためにはどうすればいいのかをみていきましょう。
看護師が抱える不安
小児在宅医療に対して看護師が抱える不安として多く挙げられるのが、「難しい病気に対する処置への不安」です。医療的ケア児の多くは難病を患っているため、これまでに経験のない病状に対して看護を行うケースが増えます。担当する際にはその病気について深く学び、病状の変化について注意深く観察しなければなりません。そのため、「自分にできるのか」「緊急時の対応はどうすればいいのか」といった不安から、小児在宅看護への参入に踏み出せないようです。
また、「ご家族の思いに寄り添えるかどうか」も懸念材料となっているようです。子どもの介護者となるのはその子の親であることがほとんどです。障がいの有無に限らず、親というのは子どもの成長を願い、成長するとともに子どもにしてあげたいこと、やらせてみたいことが変化していきます。しかし、訪問看護ではご家族と関われる時間に限りがあるため、親の思いをきちんと汲み取ったケアができるかを不安に感じる看護師が多いのです。
成長という点で言えば、ケアの方法も子どもの成長に併せて変化していきます。身体が大きくなればその分負担は大きくなりますし、それに応じてケアの方法を大きく変更することもあります。
どういった対応が必要か
では、こういった不安に対してどのように対応すべきでしょうか。ポイントとなるのは、「集団的な対応」と「小児患者及びそのご家族とのコミュニケーション」です。訪問するたびに子どもの状態は変化し、それに応じて対応内容も変化します。また、ご家族の生活環境が変化することもあります。その際には、変化したことや分からないことを放置せず、積極的にスタッフ間で情報共有をする必要があります。例えば、写真付きの手順書を作成し、都度更新すれば業務の属人化を防ぐことができます。
コミュニケーションについては、まずは介護者との会話を中心に積極的にコミュニケーションを図り、二人三脚の意識を持つことが大切です。それに加えて他の事業所との連携を密にとり、それぞれが持つ情報を表に出すことでスムーズなケアの提供が可能となります。
こういった取り組み以外にも、スキルアップ支援や地域の受け皿拡大などを進めていくことで、受け入れ事業所の数が増えていくのではないでしょうか。