医療的ケア児が増えている

医療的ケア児が増えている

医療的ケア児とは

医療的ケアとは病院で行うような処置を自宅で本人やご家族が行うことを指し、そういった医療的ケアが必要な子どものことを「医療的ケア児」と呼びます。よく知らない人からすると病名のように聞こえるかもしれませんがそうではなく、医療的ケアが必要な子どもの総称であることをまずは覚えておきましょう。そして、医療的ケア児は小児在宅医療の対象となります。新生児特定集中治療室に長期入院後、人工呼吸器や経管栄養などの医療的ケアが必要で、複数の医療デバイスを利用していることが特徴として挙げられます。なお、経管栄養とは口から栄養がとれない場合に鼻やお腹にチューブを通して胃や腸に直接栄養を運ぶ方法です。また、気管切開やたん吸引などの呼吸器ケアが必要な子どもも対象となります。
大人とは違い、成長に伴って二次障がいの発生や重症化が考えられるほか、複数の障がいを抱えているケースもあるため、その都度異なる病態を把握したうえでサポートしていかなければなりません。近年、こういった医療的ケア児が増加している傾向にあります。

増加している背景

日本の医療技術は日進月歩であり、生まれたばかりの赤ちゃんの死亡率は世界一低いというデータがあります。少し前にも、わずか300gにも満たない体重で生まれた赤ちゃんが話題になりました。昔であれば流産・死産になっていた子どもたちを救えるようになったのです。この子どもたちは生まれてすぐに集中治療室に入り、経管栄養や人工呼吸器などを利用して成長していきます。そして、自宅に戻ってきた後も継続して医療的ケアを行っていきます。医療的ケア児は過去10年で2倍に増え、現在日本には18,000人以上存在します。医療の発展は今後も続くため、医療的ケア児も同様に増加していくことが予想されます。

社会全体で支える

医療的ケア児のすべてが重度の障がいを持ちベッドで寝たきりなわけではありません。身体あるいは知的にまったく問題のない子どももいます。また、病気や障がいにより医療的ケアが必要になるまでの過程もそれぞれで異なります。周囲にそのような子どもはいないと思っていても、それは絶対数が少ないうえに外出が難しく目にする機会がないだけで、みなさんが住んでいる都道府県には必ず医療的ケア児が生活しています。
在宅医療においてカギとなるのは、各医療機関に限らず地域全体として包括的に医療的ケアに関わる姿勢です。そのため、たとえ身近に医療的ケア児がいなくとも、社会全体で子どもたちを支える意識を個々で持つ必要があります。

小児在宅医療